whitepaper新築住宅着工戸数の推移や減少の理由について徹底解説
新築住宅着工戸数の推移や減少の理由について徹底解説
新築住宅着工戸数の推移
国土交通省の「令和4年度 新設住宅着工戸数の推移」を見ると、令和2年度から令和3年度にかけては以下のような推移となっています。
単位:千戸
年度 |
総戸数 |
持家系 |
借家系 |
令和2年 |
812 |
502 |
310 |
令和3年 |
866 |
530 |
336 |
令和3年は前年度に比べると着工数が増加していることが分かります。しかし、過去のデータを遡ってみると、平成14年度の着工総戸数1,146千戸から緩やかな減少傾向にあり、特に、持ち家(注文住宅)は大幅に着工数が落ち込んでいる状況です。
野村総合研究所の発表によると、新築住宅の着工戸数は今後減少し、2040年には新設住宅着工戸数が49万戸にまで減少していくとの予想があります。反対に、既存住宅の流通量やリフォーム市場の規模は増加の見込みとなっており、住宅業界では新たな創意工夫が必要とされています。
新築住宅着工戸数が減少した理由とは?
新築住宅着工戸数は減少傾向にありますが、考えられる要因は次の2つです。
- リーマンショック後の景気の低迷と回復の遅さ
- 長期的な人口の減少
それぞれの要因について、簡単に確認しましょう。
1つ目に、リーマンショック以降は景気が悪化し、その後の回復が十分に成されていないことが影響しています。株価の上昇はあるものの、日常生活において実感できるほどの経済の回復が得られていない状況です。
2つ目に、長期的な問題として人口の減少も着工戸数の減少に影響しています。人口減少が進む中で世帯数は増加している傾向がありますが、これは、結婚しない独身者や配偶者を失った高齢者の増加が要因とされています。
これにより、将来的には高齢化社会により独り暮らし世帯が増えると予想されますが、世帯数が増えても、独り暮らし世帯の新築住宅の取得は難しいケースが多いでしょう。そのため、独り暮らし世帯の増加は新築住宅の着工戸数の増加には直結しにくく、今後も着工戸数は減少していくと言われています。
今後の住宅業界の動向として、東南アジアやオーストラリアなどへの海外展開や省エネ住宅の導入、IT・ICT技術を組み合わせたスマートハウスやスマートホームの需要に対応していくことが予想されます。
国内外を問わず、情勢によって住宅に関するニーズは変わりつつあるため、住宅メーカーは新たなニーズへの対応や従来のビジネスモデルの変革などが求められるでしょう。